そして記憶は失われた

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そして記憶は失われた

 ボカっ  うっ  ステッキで殴られた中西くんが気絶して床に倒れた。  え?今のは何? 「これであんたがストーカーをしたことと、今私の姿を見たこと、さらに私に殴られた記憶だけが消えたわよ!」  えーっと、それって魔法じゃなくて、魔法ステッキで殴って記憶の一部を消したんじゃないの? 「記憶の一部を消すようなご都合主義的な魔法なんて無いのよ!だから魔法ステッキで頭のどの部分をどのくらいの角度と力で殴ったら良いか、電話で教えてもらったの!」  魔法ステッキで物理攻撃ってなんなのよっ。 「さあ、彼が目覚める前に早く帰らないと!」  あたしたちは、うんしょよいしょと雨樋を降りた。 「じゃ!お煎餅用意しとくのよー!」  そう言うと魔法熟女は暗闇の中に消えていった。  魔法ステッキは下手くそな魔法陣を描く以外の使い道が無いの?…まあいいや。中西くんの記憶が消えてたら良いんだもんね。  次の日。 「きゃっ、ゲジゲジ!」  校内でゲジゲジを見たという情報が複数報告された。その日、若松先生はお休みだった。  ――つづく――
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