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「今はそれで」
すぐにチューハイが届いたので、あたしは一気に三分の一くらい飲んだ。
「郁、ちょっとペース落としなよ。潰れても知らないよ」
友人の言うことは分かるけど、飲まずにはいられないのだ。
「分かってると思うけど、そのままなら、郁、人生詰むよ」
痛い一言に、胸を押さえる真似をするけど、詩穂は容赦ない。
「あいつは現状維持が一番だから、郁と別れないって。
自分よりも稼いで家事もしてくれる女なんて、簡単に見つからないから離すわけないよ。
それと、ちょっと聞いたけど、また転職したってほんと?」
テーブルに突っ伏しながら頷くあたしを見て、事実と理解した詩穂は深く溜息をついた。
「マジ、別れな。これ以上、人生を無駄にしたくなかったらね」
詩穂が、あたしを思って言ってくれているのは分かる。これが逆の立場なら、あたしも絶対別れるように言う。
でも、自分だと決心がつかなかった。
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