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「聞いたと思うけど、あたしの住所は教えられないんだ。
間違って、元カレにまで届いたら困るから」
彼女を見ながら言うと、菜苗は青ざめたまま頷いた。
「あ……あ、はい。分かりました。
その人には、分からなかったと伝えます」
言い終わると、逃げるように走り去っていった。同期が、菜苗の去った方向に視線をやりながら確認してきた。
「ねぇ、もしかして、別れのきっかけの浮気相手って」
「もういいんだ。でも、見るとやっぱりムカつくから、異動願い出してる」
肯定と同じ返事だったから、八人目の浮気相手が菜苗と分かっただろう。
「でも、その子がいたから別れられたわけだからね。今度はあんたが頑張ってね、って思ってるよ」
あたしの言葉に彼女が苦笑した。
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