一番大切な人に捧げる二番目の

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一年生の時に一人付き合って一年で別れて、三年生の時にもう一人付き合って、こっちはええと、八か月か、と指を折って数えていると、「十カ月な」と秋本がめんどくさそうに訂正してくる。 美雪が苦笑する。「秋本は二人とも友達だったんだもんね」 「そうそう、こいつさぁ」と秋本は箸で夏海を指す。 「いっつも身近なところで手頃な彼氏を作ろうとするからほんと迷惑だったわ。人の友達とばっかり付き合いやがって、付き合ったり別れたりするたびに両方に気を遣う俺の身にもなれっつーの」 「いやだって仕方ないじゃない。私の人脈はそんなに広くなかったし、私が知ってる人たちは大体秋本とも知り合いだった訳だし」 そこは秋本に同情するね、と美雪がもぐもぐとから揚げを頬張って言った。 「あんたたち、なんだかんだせっまい世界で四年間生きてたもんね」 夏海と秋本はきっとなって美雪を睨んだけれど、反論の言葉が出てこない。 大学時代からその社交性を駆使してネットワークを広げて、人気の業界に軽々と就職して、更に三年間の大恋愛ののちに結婚しようとしている美雪に、自分たちが太刀打ちできるわけがない。むしろ多忙な美雪が卒業してからもこんなダメな自分たちに付き合って頻繁に一緒に飲んでくれているのが奇跡のようなものなんだ。 夏海は座りなおして頭を下げた。 「美雪、いつもありがとう。結婚おめでとう。私もあとに続けるように頑張るね」 「なぁによ、気持ち悪いなぁ」と美雪が笑う。 「私はそのままの夏海がいいと思うよ」 うわーん、ありがとう、と美雪に抱きつく夏海の後頭部をめがけて秋本がピーナッツの殻を飛ばした。
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