一番大切な人に捧げる二番目の

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何故なら夏海の隣りにはいつも同じ人物が写っているからだ。 鍋パーティーではしゃぐ夏海の頭の後ろからピースサインを突き出す秋本。 部屋でくつろぐ友人達と恋人と夏海、と秋本。 卒業式の記念写真に写る夏海、と隣りに立つ秋本。しかもお揃いのポーズを決めている。 居酒屋で酔っぱらう夏海と、顔をくしゃくしゃにして笑い転げる秋本。 卒業後、友人の披露宴で記念写真に写る夏海の隣りに寄り添うように立つ、秋本。 何故だ、全く気付かなかった。秋本の露出が明らかに多い。 夏海は写真の中の秋本のやんちゃそうな笑顔を見つめる。秋本が着ているのは、一時期お気に入りだったちょっと洒落たジャケットだ。頭の中で何かがカチリ、と音を立ててはまった。 ジャケットのボタン。 「これでも持っとけよ」と夏海の手の平にボタンを転がしたのは、秋本だった。 大学卒業前のある日一緒にご飯を食べているときに、突然手渡されたボタンに、夏海はきょとんとした。 「へ?なにこれ。私ボタンなんか探してたっけ?なんかのお守り?」 尋ねる夏海に秋本は一瞬意表を突かれたような顔をしたけど、「いいんだよ。お前なんかそれで十分だよ。とりあえず持っとけよ」なんて言うので夏海はむっとして「はぁ?まあいいけど、なんかわかんないけど、もらっとくけど」と答えたのだった。 でも、秋本が夏海に何かをくれるなんてことはそれまでまず無かったので、なんとなく、くすぐったいような嬉しいような、そんな気持ちでそっと「大切な物入れ」に入れたんだった。
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