森田ユウタがやってくる

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明るい日差しが窓から差し込む中、 まみは自分のベットで横になっていた。 だいたい1か月前の健康診断の日、教室の自分の机で結果の紙を見ていたら、 無理やり紙を奪われた。 「あ!何するの!」 まみは手を伸ばすが、背の高いきよみが腕を上げて紙を掲げた ため、手が届かない。 「うそ~去年から5キロも増えたの~超デブったじゃ~ん」 周りに聞こえるような大きな声できよみは言う。 その言葉を聞いて、クスクス笑う者もいた。 「まじ?デブじゃん」 しおりが笑う。 「これじゃあ、今度ある運動会の組み立て体操、上できないじゃん。 まみが上に乗ったとたん、重くて崩れるよ」 りかがニヤニヤ笑いながら言う。 「かと言ってまみは運動神経ないし、下も無理じゃね」 きよみもニヤニヤ笑う。 「じゃあ、運動会は休んだ方がいいね!」 三人はゲラゲラ笑った。 「うるさい・・・余計なお世話だ・・・」 まみはつぶやく。 その時、三人の声とは違う声が聞こえた。 「まみ・・・まみ・・・!」 まみは目を覚ました。 そこには心配そうな顔で自分を覗き込む母の姿があった。 まみは起き上がる。 「どうしたの?ずいぶんうなされていたわよ」 母はまみの両手に自分の手を添える。 「ごめん、母さん、嫌な夢を見てしまって・・・」 「あなた、女の子の名前をつぶやいていたわ」 「え、そうなの?」 「・・・もしかして、その子たちがあなたをいじめていたの?」 「・・・」 まみは小さく頷いた。 母は悲しそうな顔をしてため息をついた。 「本当に、何でその子たちはそんなことをしたのかしらね・・・」 「さあ、理解したくもないよ」 まみはフッと息を吐いた。 母は目をつぶった。 そして小さく言った。 「可哀そうだけど仕方ないわね・・・」 母が去った後、まみはベットから起き上がると、 立ち上がり、窓の側に行く。 窓の外の下を覗き込むと、そこから自分の家の庭が見える。 庭の中心に黒いマントを着た男が立っている。 男は上を見ている。 まみと目が合う。 その顔を見てまみは震えた。
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