森田ユウタがやってくる

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「あんた、髪しらみだらけじゃない!」 私が教室で掃除をしていると、いきなりきよみに頭を掴まれ、 そう言われた。 「痛い、何するの!」 「あんた髪ちゃんと洗っているの?」 「洗っているよ、しらみなんて見間違いじゃないの?」 私は頭にかかった手を払いのける。 「間違いじゃないわよ!」 きよみは叫ぶ。 「だいたい、本当にしらみがあったとして、私にどうしろっていうの?」 「もうどうにもできない!手遅れ!」 きよみは言う。 私はきよみの顔を見た。彼女の表情は怒っているというより、 どこかバカにしているような表情だった。 「だったら何も言うなよ・・・」 まみは目を覚ました。 ベットから起き上がると、額をおさえる。 「あんなこともあったな・・」 後で保健室の先生に髪を診てもらったが、しらみなど一つもなかったらしい。 まみは唇を噛む。 「最初に話しかけてきたときは、いい子だと思った。 背も高いからお姉さんみたいな子だと思った。 だけどあいつはただの上から目線な女だったんだ」 まみが学校に来なくなって1週間が過ぎた。 昼休み、きよみの机の周りにりかとしおりは座っている。 「あの子がいなくなって、なんかつまらないわね」 しおりが言う。 「本当、何で休んでいるんだろうね、いままで元気だったのに」 りかが頷いた。 それを聞いてきよみは思った。 (もしかして森田ユウタのこと関係しているのだろうか・・) すると、目の前に黒いマントの人物が見えた。 「え?」 きよみは立ち上がる。 「どうしたの?きよみ」 二人がきよみの顔を見る。 きよみがまばたきをすると、黒いマントの人物はいなかった。 「ううん、何でもない」 今のは気のせいだったのか。
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