第十五話 お姫様と新たな勇者

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         ◆ ◆ ◆  その頃応接間では、美玲達と姫殿下は打ち解けた会話をしていた。 「――すごいですね」 「他にもあの方は素晴らしのですよ」  ()()()()()()椅子に掛け楽しそうに姫殿下、もといヴァルネス・フォン・キュレリィと話していた。かくいう蒼磨は椅子にも掛けず部屋の隅で壁にもたれ掛かり腕を組んでいた。決して椅子に座れなかったのではない、ヴァルネスの対面の席にも座れるし、両隣にも空きがある。  蒼磨は、蒼磨だけは何かを勘づいていた。それがなんなのかはまだ理解していないようだが。 「あの……ソウマさん、私と話しませんか?」  そうヴァルネスが言うも蒼磨は沈黙を貫き全く話そうとしない。かくいうばかりか舌打ちをしてそっぽを向いてしまった。 「蒼磨! 失礼でしょ!」  美玲に怒られるも蒼磨はただ虚空を見つめながらシカトをした。おもむろに背中を壁から外すと両足で立ち、扉の前まで歩いて行った。 「ちょ、蒼磨! どこへ行こうとしてるんですか!」 「蒼磨、どこ行くんだよ!」  美玲と猟魔が制止を促すも一切振り向こうともせず扉を開けるとヴァルネスを一瞥して出て行った。  扉が音を立てて閉まると居心地の悪い静寂に包まれた。 「…………」  この空気に耐えられなかったのか猟魔が口を開いた。 「……蒼磨、昔からああいうとこがあるんです。すみません、あとで謝るよう言っておくので」 「構いませんよ、勝手に召喚してそればかりかあのような場所に送ってしまった私が悪いんです……怒られても、仕方ないですよね……」   猟魔はなんだかいたたまれない気持ちになり口を噤んだ。          ◆ ◆ ◆ (あのヴァルネスとか言うヤツぜってぇなにか隠してやがる)  応接間を出た蒼磨はずっと感じていた違和感と危機感を頭の中で考えながら廊下を歩いていた。すると前方からお盆の上にティーカップと急須? を載せてこちらに向かってくるモロノさんの姿が見えた。 「迷子ですか? それともトイレでしょうか?」  開口一番モロノさんはそう訊いてきたが蒼磨が違うと言うことを伝えると何も訊かず応接間の方へ歩いて行った。 (……とりあえずどうするかだな、咲夜に会いに行って話せばいろいろ分かりそうだが……できれば如月がいねぇ方が良いんだよな……)  そんなことを考えながら索敵スキルを使って居場所を探った。すると、ある一室の部屋に二人の魔力反応があった。蒼磨はやれやれと思いながら部屋に行くのはやめ、テラスにでも行ってみようと思い再び索敵をし人がいない通路を通りテラスへ向かった。 (はぁ……)  蒼磨はため息をつくと手すりにもたれ掛かりながら城下町を見下ろした。
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