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『木枯らし一座は笛を吹く』 楽式~tanosiki~
山々の放つ木枯らしが
寒さに震える梢を打って
抜け殻となった草原の上に
燃える木の葉を撒き散らしていく
忘れたカメラが悔やまれる
無念の情を抱えて座り
地の冷たさに驚く夕暮れ
誰も彼もが眠らせられる
邪魔だ邪魔だと煽られた
風はいつの時代も子供
くっついてきた木の葉を払い
色を落とさず帰路に就こうか
笑う声を聞き振り返る
つむじの風の余波が吹いた
『木枯らし一座は笛を吹く』
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冬を前にした、寒い秋の頃。水を抜いた沼の写真だね。
落ち葉の色は暖かなはずなのに、写真を見ているだけで身が震えちゃう。
木枯らしが吹いて落ち葉が舞う季節、普段は気にならないちょっとした風でも、肌が敏感に感じ取って冷たさを伝えてくるんだ。しかも、周りに高い建物や木々があると、色んな方向から風が吹き付けてくるからね。
風はどこから来るのだろうか、どこへ向かって吹いているのか。
そんな哲学的なことは考えたりしないんだけど、時々、「ああ、遊んでるな」って風を見かけることがある。誰も居ない場所で木の葉を巻き上げたり、一本の枝だけ揺らしてみたり。
トンビが強い風を翼に受けて、羽ばたかなくても空中に留まるような姿勢を維持している姿を見ると、楽しそうだなと思っちゃう。あれも遊んでいるのかもしれないね。
この沼はもう、雪の覆われていて、木の葉を見ることは出来ない。体ばかりじゃなくて目にも寒い冬が来たよ。春になれば、この沼には水が張られて木の葉は水底へと沈んでいくんだ。再び、養分となって新しい葉っぱに生まれ変わる。一種の循環する世界だと思うんだよ。
年末年始は大寒波が来るそう。
コタツでミカンを食べながら、風を避けて過ごしたいね。
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