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短時間で細部まで見知らぬ彼を観察してから、はっとする。
私ってばまじまじ見て変態みたい……
顔をあげると、見知らぬ彼が冷たい目で私を見おろしていた。
「誰?」
頭上から不機嫌そうな低い声が落ちてくる。
その言い方は怒っているみたいで怖い。
「あ、えっと。ここに住んでるのって────……」
「俺だけど」
私が最後まで話していないのに、彼が怒っているような声で言葉を被せてくる。
「でもここ……」
ドアの左上にちらっと視線を向ける。
そこに掲げられたプレートの部屋番は、やっぱり703号室で間違いなかった。
「あの……」
見知らぬ男に見おろされて困惑していると、腕に引っ掛けたブランド物のミニボストンの中で私のスマホが鳴りはじめた。
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