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カレンダーに付けたハートのスタンプは、悠斗とエッチした日。数えてみたら、生理が終わった日から今日までの1ヶ月半に10個ある。
(悠斗の赤ちゃん……)
どうしよう、がほとんどだけど、ちょっとだけ嬉しい気もする。私はまだぺたんこのお腹を触った。
ここに、赤ちゃんがいる。悠斗と私の遺伝子を半分ずつもらった子が、まだ小ちゃいけど、確かにいるんだ。
スマホで検索したら、2ヶ月だとまだ豆粒くらいの大きさだと書いてあった。
(小指の爪くらいかなぁ)
私は自分の手を顔の前にかざして、小さな爪をぼんやり眺めた。
悠斗に相談したいけど、ラインで言えることでもない。
お互い夏期講習があるから会えるのは週に2、3回で、次の約束は来月。エッチするようになってからデートはいつも家だから、その時にちゃんと話せるだろう。
(悠斗、どんな反応をするかな……)
想像したら少し楽しくなった。びっくりするだろうな。もしかして、お腹に触ったりするかなって。
「ふふふ」
浮かれた気分で笑いながら、頭の片隅ではちゃんと分かってた。三人で楽しく暮らす未来なんて来ない。きっと堕ろすことになる。
だって私たちはまだ、中学三年生なんだから。
でもたぶん、ちゃんと考えなきいけない現実から目を背けていたかったんだと思う。
私は叶わないと知ってる幸せな妄想に浸って、小さな声で笑い続けた。
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