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「なぁにぃ? 杏、ケーキ残すつもり?」
「3日くらいかけて、ちょっとずつ食べたいから」
そう言ってごまかしたけど、ホントは気持ち悪くて食べられなかった。
何日か前から、ずっと車酔いみたいなゆるい吐き気が続いてる。実際に吐くほどじゃないけど、ごはんも歯磨きも気持ちが悪くて、ずっと体がだるかった。
「定期テストとか受験の時に風邪引いたら最悪だから、ちゃんとバランスよく食べなさいよ」
普段から口うるさくないママは、それ以上何も言わなかったけど。私の胸の中は、不安と不快感ですごくもやもやしていた。
(私、高校行けるのかな……?)
最終月経日を入れるだけで簡単に調べられた。私の出産予定日は、3月12日。もし産むなら、大きなお腹で受験なんかできない。
(産めるわけ、ないよね……)
一人で決められることじゃないのに、悠斗とは全然話ができない。夏休みに会えたのは3回だけ。学校が始まってもクラスが違ってなかなか会えない。
妊娠を伝えたあの日から、悠斗は明らかに私を避けるようになっていた。
(今日誕生日だって、絶対知ってるのにな……)
夜中まで待ったけど、悠斗はおめでとうのスタンプも送ってくれなかった。
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