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 校内でのチケットの売れ行きが、少しだけ上がった。まあ、数枚って単位の話だけど。  玲次ファンばっかり。よそのクラスの女の子までが、あの人誰? って聞きに来る。で、うちのギターだけど、チケット買わない? なんて言うと、売れちゃうんだよね。良いんだけどさ、「冷獅(レイジ)」は人気商売なんだし。でも、学校に来る「玲次」は僕の彼氏。そこんとこ、切り離しておきたい。  初めのうちは、僕も少しだけ自慢だったんだけどね。自分の彼氏が誰から見てもカッコいいっていうのは、悪い気分じゃない。それを独り占め出来てると思うと、僕でもいい気になるよね。  でも、校内で僕の知ってる女の子ほぼ全員が玲次のこと聞きに来たら…不安になる。やっと、玲次がモテるに値する男だって実感しちゃった。  僕もわかってるよ。玲次が僕しか見てないってこと。絶対によそ見なんかしないって。でも、そう。これってヤキモチだ。無意味だってわかってても止まらない。  学校で質問に来られる度にイライラして、玲次の顔見て安心して、でもふっといい表情見ちゃったりすると、もうダメ。
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