まいりましたっ!

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***  結局すったもんだありつつもマンションに持ち帰ってきてしまった、木製の化粧箱入りの、くだんの一升瓶2本。  1本は先日日織(ひおり)さんとの話に上がった、「獺祭(だっさい)」の純米大吟醸磨き2割3分。  もう1本は同じく市内の蔵元の、「金雀(きんすずめ)飛翔」の純米大吟醸4割。  獺祭は想定の範囲内だったけれど、金雀には正直驚いてしまった。 「日織さん、金雀なんて知ってらしたんですね」  市内に蔵元を構える地酒でメジャーなものは、「五橋(ごきょう)」、「金冠黒松(きんかんくろまつ)」、「雁木(がんぎ)」あたりで、「金雀」はどちらかというと地元の店でも余り見かけないお酒だ。 「以前、お父様がお知り合いの方からいただいたんです。少し小耳に挟んだんですが、ちょっとレアなお酒なんですよね?」  この口ぶりから察するに、獺祭と違って「お好きだから」持っていらしたわけではなく、「珍しいから」僕に飲ませてあげようと思ってくださったのかな?と思いいたる。
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