まいりましたっ!

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*** 「金雀(きんすずめ)、良い香りなのですっ」  金雀を開封して、グラスに八分目ぐらいまで入れてから2人で香りを嗅いでみる。  フルーティーな吟醸香にうっとりなさる日織(ひおり)さんを見て、僕は目尻が下がる。  本当、日織さんは何をしてらしても絵になる。 「いただきます」  まるで仕切り直しのように改めてそうおっしゃると、日織さんがグラスにそっと口を付けた。  そうしてほんの少し口に含んでいらしてから、驚いたように瞳を見開かれたのが分かった。 「どうなさいました?」  聞くと、「しゅ、修太郎さんも飲んでみられたら分かるのですっ」と目をキラキラさせる。  どうしたんだろう?  そんなに旨かった、ということだろうか?  そんなことを思いながら、僕はグラスの中身をひとくち口に含んで。 「え……?」  思わず声が漏れていた。
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