いいみたいなのですっ!と言われても

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 僕の沈黙の意味をちゃんと汲み取って下さるあたり、日織(ひおり)さんはさすがだな、と思う。 『お父様が取引先の方に頂いたからって……。私もご相伴(しょうばん)に』 「え?」  僕はその言葉を聞いて少しモヤモヤとしてしまう。  それで小さく吐息を落とすと、声を少しだけ低めて、敢えて彼女を呼び捨てにした。 「――、僕のいないところで勝手にお酒を飲むのはダメだと……前に言いませんでしたか?」  あんなにお酒に弱くていらっしゃるのに。ましてやアルコール度数が高めな日本酒など。  お義父(とう)さんから振る舞われたお酒と言うことは、まぁ、飲まれたのはご自宅で、と言うことだとは思う。思いはするけれど……それにしたって一言ぐらい……。  そんな風に思ってしまう僕は心が狭いんだろうか。  日織さんのことを全て把握していないと気が済まないのは、ある意味執着心が強すぎて気持ち悪がられても仕方ない気さえするんだ。  けれど、どう足掻いたって、僕はこれを抑える術を持てないんだから仕方がない。  幸い日織さんは僕のそういう言動に対して〝今のところ〟嫌なお顔はなさらないから。  だから僕もつい甘えてしまうのだけれど。
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