危険なふたり?

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「持ってくるときに揺らしちゃったので寄ってしまってないか心配だったんですが、無事でホッとしました」  そこで悪戯っぽく微笑んでいらして。  その表情さえもすごく愛らしくて、愛しさに胸がキュッと締め付けられる。  花嫁修行と称してお義母(かあ)さんやうちの母から料理の手解きを受けている日織(ひおり)さんは、作れるもののレパートリーも随分増えたみたいで。  このところは弁当の中身が全て彼女の手作りだ。  日織さんは案外のめり込むとこだわり派なところがあるので、頑張り過ぎてはいないだろうか?とふと不安になる。  それで、「少しは手抜きして冷食を入れていただいても構わないのですよ?」と言ってみたら、フルフルと首を横に振るんだ。 「作り置きを小分けにして冷凍する(すべ)を身につけた日織には、そのようなものは必要ないのです」  どこか芝居めいた仕草と口調でそう言ってから、「見てください。このミートボールのトマト煮も、こっちのインゲンとニンジンの胡麻和(ごまあ)えも、作り置きの冷凍をポン!なんですよ!? えっへん」と胸をお張りになる。  そんなに胸を強調されると触りたくなるのですが。  なんて真っ昼間の、それも職場の敷地内で言ったら怒らせてしまうかな?  ダメだ、ダメだ。  数日彼女を抱かなかっただけでこれ。  僕はどれだけ日織さんに対して貪欲なんだろう。
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