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就活が始まった。
裕二は真っ先に湯町商事のインターンへ参加している。
噂に聞いた通り 社内は非の打ち所が見つからない程の清潔さと完全警備機能による安心感が印象付ける。
職場見学感想用紙をビッシリと埋め、更にアピールをする。
去年の日常が嘘かのように毎日月が見られる時間帯まで居残りするほどの勉強三昧
講義中の睡魔との戦いに拍車がかかり続ける。
「今日から履歴書の練習をしてもらいます。」
高校以来の履歴書
一度やってるから..... そんなことを理由にすぐ終了すると言わんばかりの過信ぶり
しかし自信とは裏腹に名前ですら丁寧に書くことが出来ずにいた。
書けば書くほど深みにハマる
時間が経てば経つほどクシャクシャの紙が捨てられて行く。
人一倍並ぼうとも進み具合はさほど変わらなかった。
甘い目論見は塵となって消えていく。
そんな裕二を後目に雄叫びを上げながら履歴書を通過する同級生
その中に自尊心を傷つけていた宮下優子もいる。
「あれぇ 裕二くんまだ終わってなかったの?
遅いー」
いつも通り茶化す。
裕二の集中の糸もその瞬間だけ切れる。
能天気な優子の妨害もあってか結局履歴書を終わらせたのはラストから二番目
渾名が履歴書ブービーになり、すぐに流行りだした。
ガツンと肩を落とした裕二の自信もみるみるうちに失っていく。
もう本番まで2週間を切っているというのに
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