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ああ、終わった。
こんな中央基地で、大隊長、将軍様の主席秘書官である中佐殿に会うだけで、一週間前から緊張してきた。
それが終わった。そんなホッとした気持ちと。
ああ、もうきっとダメだな。落ちたに決まっていると、面接官の男二人の反応を見て落胆する気持ち。
おかしいな。落ちることなんてわかっていて来ただけなのに。父がうるさいから、ひとまず受けただけなのに。なんでがっかりしているんだろう。
心優は不思議に感じてしまっていた。
―◆・◆・◆・◆・◆―
騒々しい面接を終え、外廊下にでるとまだ待機している女性が十数名ほど並んで座っている。
「賑やかでしたね。どのようなことを話されていたのですか」
緊張して待っている彼女達に尋ねられたが、心優は『面接のことは言えないことになっています』と断った。
ほっとひと息つきたいところだけれど、どうしたことか、心優は興奮していた。
初めての横須賀基地。面接会場となった空部大隊本部会議室前の廊下には、黒ネクタイの軍制服を凛と着こなした綺麗な女性ばかりが並んで座り、待機していた。
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