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そんな上官と、急に面会することになり、心優はずっと緊張しっぱなし。
「園田さん。まずはお座りください」
眼鏡をかけている補佐官の男性に促され、心優はその椅子に腰をかける。
「ようこそ。空部大隊本部隊長、長沼准将の秘書を務める『城戸』です。今日は浜松から来てくれてありがとう」
城戸中佐――。
座って向き合うと正面にその人がいた。
他の男性とは明らかに雰囲気が違う。そして彼は微笑みを湛えていた。とても柔らかい雰囲気に包まれている。でも細身ながら肩や胸板ががっしりして、鍛えられた体格であることは、武道をしてきた心優には一目瞭然で、『戦闘機パイロット』だったという経歴もすぐに頷ける姿。
なのに心優に話しかけるのは中佐殿ではなかった。にっこり存在感を醸し出している中佐殿の隣に控える、涼やかな面差しの眼鏡の男性。
「補佐官の塚田です。経歴書を見させて頂きました。いくつかお伺いいたしますね。沼津のご出身、お父様は横須賀訓練校の教官をされていますね」
その眼鏡の彼が経歴書を眺め進行している。
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