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それは恋人だったり、妻の座であったり、または心優のように秘書室秘書官として配属されたいが為の、様々な願望があってのこと。
そんな涙ぐましい努力をしているのに比べたら、『空手ができる』のひとつで大抜擢された心優は、彼女達にとっては『悔しい、うざい』存在らしい――。
彼女達も虎視眈々と狙っている。元エースパイロットだったのに、いまは空部隊を仕切っている将軍殿のエリート秘書官である彼のお側にあがれることを。
心優にとっても、この一年はとてもめまぐるしかった。
浜松基地から抜擢された、武道指導教官の娘。と、それなりに注目された。
女性達からの、ある程度の妬みも受けたが、そこは大基地ゆえか。そんな『仕事に関係のない妬み』で夢中になっていられる職場でもなく、彼女達も時間が経てば冷たい目線だけになって心優に触らなくなった。
そんな心優の立場を知ってるはずなのに、やはり中佐殿はにこにこしているだけで、取り立ててフォローをしてくれるわけでもない。
そこで初めて心優は『上司だからかばってくれる』だなんて、馬鹿なことを考えていたと思い改めたものだった。
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