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『何故、助けてくれないのですか』――なんて、冗談でもほのめかしたら。きっと中佐は、つまんないことで妬む女性の心根よりも心優を蔑むのだろう。
俺の側にいるなら、闘える者ではないと困る。
きっと、そう思っている。
中佐殿は、そういう冷たいところがある。
『基地に慣れたか。女性ばかりだから、いままでと勝手が違うだろう』
『はい。女性って難しいですね……』
『そんなもんだろう。どこにいっても』
『そうでしょうか。ここの女性の競争心って普通ではありません』
心配してくれているのかと思って、ちょっと本音を漏らした。
『そうかな。当たり前じゃないかな。いまよりもっと良くなりたいという向上心の表れだ』
当たり前という言い方に、心優は肝を冷やした。にこにこしているくせに、目が笑っていない……。
彼女達に妬まれ、影で嫌味を浴びせられ一方的に激突されている様子を察して、心優がどうするか……。その目が心優を試していることに気がついた時、ゾッとした。
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