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そんな心優の心情の変化を見抜くように、城戸中佐が労ってくれる。
「園田を採用して、正解だった。園田は、いつも試合で強敵と戦うことになった時はどんな気持ちなんだ。……たぶん、もうそんな気持ちでいるような気がしている」
いつものにこにこ……ではなかった。優しい眼差しで心優をじっと見下ろしてくれて。
ドキドキしてなにも答えられなかった。
「笑わないんだな、園田は。だよな、試合中に笑ったりなんかしないもんな」
ただ見たこともない優しいあなたにドキドキしちゃっているから。笑うことも出来ないだけ。
どうして、今日はそんなに優しくわたしを見てくれるの?
いつもの彼じゃない。でも、そんな彼を見ることができて、ドキドキしている。
でも、そう。中佐殿が言っていることはそのとおり。彼女達の蔑みが気にならなくなったのは『これは試合なんだ。気持ちで負けたら、私の負け』と切り替えられたからだ。
それから、心優は笑っていない、ようだった。それは彼に言われて、自分でも初めて気がついたこと。
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