3.ドキドキです、中佐殿

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 転属してきた当初は、『園田教官の娘、世界選手権の代表選手、全国三位だった』という目で見られると同時に、『田舎臭い子』とか『武道一筋だったからしようがないんじゃない』とか、『城戸君が選んだ初めての女は、なんとも冴えないボサ子』だとも影で言われていたようだった。  終いについた基地でのあだ名は『空手家ボサ子』  自分でもその空気を感じ、逃げたいと思ったし、やはり相応しくない辞めたいとも思った。  だけれど、城戸中佐は『もうちょっと女らしくしたらどうだ』なんて一度も言わなかった。そして、彼の第一補佐である塚田少佐も『気にするな』と言って、なにかを改めるような指示はしなかった。  半年経って、心優も心構えを変えた。  黒髪はだらしなくならないよう、短くてもこまめに美容室に通って手入れをして、メイクも顔色が良くみえるよう、小綺麗にするよう心がけた。
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