3.ドキドキです、中佐殿

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 塚田少佐には『冷静沈着』という言葉が本当に似合う。にこりとも笑わない。だからって本当に恐ろしい訳ではない。言葉の端々に温かみや思いやりをかんじる。  逆に、城戸中佐は見た目はにこにことっつきやすそうに見せて、内側に秘めている冷徹さは徹底されている。  しかし、そんな中佐殿が変貌してしまう人が、ただひとり。  心優はその人が来ると、城戸中佐同様、落ち着かなくなってしまう。  あの朗らかな中佐の様子が明らかにおかしいから……。    ―◆・◆・◆・◆・◆―    その方の訪問は、城戸中佐の心を揺らすだけではない。  長沼准将の秘書室の空気をひっくり返す。 「ミセス准将が隊長室にお見えだ。すぐにお茶を差し上げてくれ」 「かしこまりました、中佐」  塚田少佐がすぐにデスクから立った。  だけれど中佐殿のその一声を耳にした秘書官男性達がざわついた。彼等の視線が一斉に、城戸中佐へと向かう。 「中佐、まさか。いま隣の隊長室にミセス准将が?」 「ああ。毎度の如く、お友達に会いに来たといわんばかりにアポなし」  呆れた中佐に同調するように、彼等も疲れたため息をこぼした。
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