1.セクハラですよ、中佐殿

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「中佐。……そのような発言に指示は、昨今では『セクシャルハラスメント』とされますので、慎んで頂けますか」 「いいじゃん。それでもいいよ、自分は」  にっこり親しみある微笑みが、不敵な笑みにかわった。ちょっと意地悪く唇をあげて、楽しそうな目で心優を真っ直ぐに見ている。 「セクハラって、どこからがセクハラなんだ? 園田さん。今のはセクハラ?」  本当にセクハラをされたらどうするのか。いきなり女性にとって難しい問題を突きつけられている気がした。 「いえ、その……。私はそんな……セク……、いえ、嫌な気持ちはひとつも感じておりません」  確かに『いいカラダ』と言われながら、上から下までじろじろ見られたのはやや困惑したけれど。緊張のあまり、そんな嫌な言葉だと思う間もなかった。 「塚田、嫌じゃなかったと言っている。女性が嫌でなければ、セクハラではないだろう?」 「そうやって、上官の権限で威圧的に抗議を前もって抑え込むと、今度は『パワーハラスメント』となりますけれどね」  眼鏡の少佐殿が、呆れた溜め息をこぼし、不機嫌そうな顔になる。
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