2092人が本棚に入れています
本棚に追加
/825ページ
「中佐。……そのような発言に指示は、昨今では『セクシャルハラスメント』とされますので、慎んで頂けますか」
「いいじゃん。それでもいいよ、自分は」
にっこり親しみある微笑みが、不敵な笑みにかわった。ちょっと意地悪く唇をあげて、楽しそうな目で心優を真っ直ぐに見ている。
「セクハラって、どこからがセクハラなんだ? 園田さん。今のはセクハラ?」
本当にセクハラをされたらどうするのか。いきなり女性にとって難しい問題を突きつけられている気がした。
「いえ、その……。私はそんな……セク……、いえ、嫌な気持ちはひとつも感じておりません」
確かに『いいカラダ』と言われながら、上から下までじろじろ見られたのはやや困惑したけれど。緊張のあまり、そんな嫌な言葉だと思う間もなかった。
「塚田、嫌じゃなかったと言っている。女性が嫌でなければ、セクハラではないだろう?」
「そうやって、上官の権限で威圧的に抗議を前もって抑え込むと、今度は『パワーハラスメント』となりますけれどね」
眼鏡の少佐殿が、呆れた溜め息をこぼし、不機嫌そうな顔になる。
最初のコメントを投稿しよう!