1.セクハラですよ、中佐殿

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「いままで男性同士では平気で使っていた言葉遣いも、今後は気をつけなくてはなりませんよ。城戸中佐」 「あー、うるさいのが始まった。おまえのほうが意識しすぎだろっ。園田さんは別に厭らしく思っていないのに、おまえが厭らしく捉えただけだ」 「かもしれませんが? それでも彼女もびっくりしていたではありませんか。言葉遣いを気をつけてくださいと言うことです」  眼鏡の塚田少佐。中佐殿に遠慮ない物言い。この方が一番の補佐だということが良くわかる。  そして彼は冷静に言い返す。 「わかっていますよ。中佐は、園田さんの『体格』のことをおっしゃっているのでしょう。ですが女性に『いいカラダ』は別の意味に誤解されやすいひとことでもありますので、お気をつけください」 「わ、わかったよ。もう」  ふて腐れた中佐殿がぷんとそっぽを向く。 「園田さん。中佐は、あなたの鍛え抜かれた体格のことを言っておられるのです。失礼いたしました」 「いいえ、なんとも思っておりませんから、大丈夫です。あの、中佐も。いいカラダ、されておりますよね」  心優も立たされたまま、そう言ってみた。
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