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中佐殿が返答に困り果てていると、眼鏡の塚田少佐がため息をつきながら、ひと言で告げる。
「女性ならではの感性が秘書室にも必要と判断しての、今回の面接です」
女性らしい感性? ますます自分にはムリ。心優はそう思った。
だが中佐が、唸った末にやっとひと言。
「そうそう。俺達にはムリなんだよな。あの人みたいな上官もいることだし……なあ」
「別にあのお方の為だけではありませんよ。いまは女性の感性も大事な要素です」
「そうだ、そうだ。うんうん」
あのお方? 眉をひそめる。その方の為に女性が必要――とも聞こえた。
どうして女性を求めているのだろう?
中佐殿の秘書室で『初めて女性隊員を募る』ということでこの面接が行われている。
希望者を募るものではなく、秘書室側である程度の候補を探しての面接だった。
それまで地方駐屯地で、それなりの業務隊員をしていた心優にも白羽の矢が立った。
横須賀基地は国際連合軍の日本支部を司る中央。正直、何故自分が――という驚きもあったが、候補にあがってしまった理由もすぐに見つけてしまう。
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