1.セクハラですよ、中佐殿

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 おそらく、心優の父親もこの軍隊に携わっている『横須賀基地、訓練校の訓練教官』だからなのだろうと察した。  選ばれることは光栄だろうけれど、それが親の七光りとなると自信は喪失する。そんなの実力でも何でもないじゃない。単なる二世隊員にめぼしをつけただけじゃない。こんな面接……。そう思った。  だけれど父親に『横須賀基地の、しかも空部隊を一手に率いる大隊本部秘書室の所属になれるだなんて、こんなチャンスは滅多にない。受けるだけ受けてみなさい』と、きつく言われた。  訓練校の教官で退官を目の前にしている父親にしてみれば、中枢の業務に携わることはとても名誉に思えるのだろう。  心優の実家は体育会系ファミリー。父は若き頃、インターハイにて日本一。長男の兄は有名体育大学柔道部のコーチ。次男の兄は格闘技道場を経営している。末っ子の心優も、兄達の後ろにくっついているうちに、もの心着いた時には、彼等と一緒に武道に邁進。  兄は柔道、二番目の兄は格闘技全般。心優は父と同様、空手に勤しんだ。
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