1.セクハラですよ、中佐殿

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1.セクハラですよ、中佐殿

 横須賀基地の海上。今日も白い戦闘機が青空へと高く昇っていく。  その青さに魅せられて、どこまでいけるかと上昇を続けると、見たこともない静かな静かな藍の天蓋が見えるのだと――。  宇宙を目の前にしたことがある人達が、そう教えてくれた。  この話ができる人間は限られている。  彼等は、戦闘機パイロット。  空の果てまで行くことができる者達。    「いいカラダしているねえー」    このひと言が中佐殿との出会い。  黒のジャケットに白いワイシャツ、黒ネクタイ。  肩には肩章に、位を示す金の星と、金のライン。  基地にいる者の軍隊制服。ここはその制服姿の海軍軍人と事務官で溢れている大基地。  突然のことだったが、心優(ミユ)に白羽の矢が立ち、城戸中佐と面会することに。それが中佐殿との初対面。    城戸 雅臣(まさおみ)中佐殿。  元戦闘機パイロット。  現在は、空部隊本部隊長 秘書室 室長。将軍付きのエリート秘書官。    国防の最前線である領空ギリギリのところで、マッハの判断を強いられてきた防衛パイロット。横須賀基地エースチームの一員だったと聞く。  
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