おばあさんの うそ

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おばあさんの うそ

ムーちゃんのはなしを聞いたおばあさんも、もらいなきをして、もういちど、ぎゅーっとムーちゃんをだきしめて、いいました。 「そんな、かぞくおもいのムーちゃんが、うそつきなら、わたしも、うそつきね。」 「おばあさんも、うそつきなの?」 ムーちゃんは、びっくりしました。 やさしいおばあさんが、うそをつくような、わるい人には、見えなかったからです。 「ええ。」 そういったおばあさんは、ポケットから、小さなジュエリーポーチを出しました。 おばあさんは、中にはいっていたゆびわを出して、そっと、ひとなでしました。 「このゆびわはね、おじいさんが、わたしとけっこんしたときにくれた、たいせつな、たいせつな、たからものなのよ。 おじいさんはね、ずっとながいこと、わるいびょうきにかかっていたの。 天ごくにいくまでのあいだ、まいにち、まいにち、うそをいいつづけていたわ。 すぐに、げん気になるわよって。」
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