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どちらの言い分も興味は無いと切り捨てる。
先程までよりも少し大きめの声で。
双方言い争っていて声が大きくなっていたというのも理由の一つではあるが、本命はマリモでも副会長の親衛隊の子たちでもなく、
「…紺埜様が直接動いてるなんて聞いてないんだけど?」
「どーでもいいじゃん?結局は風紀に下った負け犬どもなんだからよ。どーせならアイツにも普段の鬱憤晴らすのに付き合ってもらおうぜ」
こちらに着々と近付いていた三ツ瀬と不良達に聞こえるよう「ヒッ」…に?
「楓!こんな所にいたのか!」
あれ?なんで宮田君は捕まってるんだろうか。夏葵は何してるんだ?と、スマホを見下ろす。…そうだった見つかったらまずいと思って音もバイブも消してたんだった。LIMEには親衛隊員からの焦った様な報告、夏葵からはかなりの着信が来ていた。これは俺が悪い。うん。
謝罪と宮田君のことはこっちで何とかすると送っておこう。夏葵にも後で電話しとかなきゃかな。俺の親衛隊は腐男子ばっかりだけど、ちゃんと周りの事も考えてくれるし本当に危険な事があれば対処してくれるから良い奴らだなと常々思ってる。
一応、夏葵によって入隊者は精査されているから、被害を仕方ないと思うような腐男子は弾かれている可能性が高い。
「宮田楓クン、だよね〜?」
「…え?あ、そう、ですけど」
「楓も彼方も!俺を無視するな!」
「かなた?誰だそれ」
「何言ってるんだ?彼方は彼方だろ!田中彼方!」
不良Bの疑問が聞こえたのか、言いながら漣を指差す。大体の事がわかったのだろう不良Aが、鼻で笑いながら口を開く。
「田中彼方だぁ?だっせぇ名前にしたもんだなあ、紺埜漣!」
「な!漣って言うのか!お前、俺に嘘ついたのか!?サイテーだ!謝れよ!謝れば許してやるぞ!」
「ちぇ〜、名前呼ばれたくないからテキトーに教えたのにさ〜。余計な事してくれたよね〜」
「なんだ、お前から会いに来たんだから興味でも湧いたのかと思ったぜ」
さらりと偽名を使ったことを認めた漣。
多分、これ以降極力関わりは避けるからどうでも良いと思ったのだろうけど、甘い。
多分どこか(主に生徒会役員)からクラスとか聞いて付きまとわれるにきまってるのに。
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