地雷です

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居酒屋での懇親会がお開きとなり会計を終えて外へでると上司二人は上機嫌で意気投合してはしゃいでいた。 「さぁ次はオネエチャンのいる店行くぞー。」 オネエチャンの店、キャバクラか。 一社会人、しかも新人としては上司の提案を無下にもできない。 でも…興味ないし、面倒くさいし行きたくない…。 不意に腕に何かが絡み付いてきた。 「スミマセーン。お綺麗処にはダンディなおじ様お二人でお願いしますぅ。いたいけな朝比奈君にはボクが大人の遊び方を一段ずつ伝授してあげよーかなぁって思ってるんで。」 俺の腕に絡み付いて白戸さんがきゅるんとあざとく首を傾けて言った。 一瞬キョトンとした上司二人は次いでワッハッハと笑った。 何があっても楽しいお年頃のようだ。 「そーかそーか。この堅物を宜しく頼むよ白戸君!」 「イケメン二人には野暮な誘いだったなぁ。じゃ枯れたおっさん二人、綺麗処にチヤホヤされにいきましょうかね〜。」 それじゃあまた!と言ってキャバクラへ向かうオッサン二人を白戸さんはニコニコと手を振って見送った。 これは… 助けてもらったのかな。 俺が乗り気じゃないのを察してさりげなく断ってくれたんじゃないかな。 お礼を言おうとした矢先「さー行こう行こう。」と腕を引っ張られた。 え?さっきのは断る口実じゃなかったのか? 俺の訝しげな視線に気付いた白戸さんはにこっと笑顔を向けてきた。 「ただ帰しちゃったのが後日バレたら、上司の誘いを無下に断ったみたいで角が立つじゃない?だから既成事実のために一杯だけ行こう?」 そう言われてなるほどな、と俺も納得する。 月曜日にあの後どこ行った?と聞かれて俺が上手くごまかせればいいけど、生憎嘘は上手くない。 しどろもどろの言い訳をする羽目になるくらいなら一杯ぐらい付き合った方がいいかもしれない。 分かりましたと答えた俺に白戸さんが頷いて二人で歩き出した。 白戸さんが連れてきてくれた店は路地裏にポツンと扉だけがあるようなバーだった。 黒を基調とした暗めの店内。カウンター席があり、ボックス席もいくつかあるがキャバクラのように店員がつくわけではなさそうだ。 落ち着いた店内だが静か過ぎるというほどでもなく居心地は悪くない。 奥のボックス席でソファーに腰を下ろす。 白戸さんのキープしていたボトルが用意され、それをいただく事にした。 「ところで朝比奈君ってボクが嫌いなのかな。」 乾杯と言ってグラスを合わせて一口飲んだ直後。 唐突に核心を突かれて思わず咽せ込みそうになった。
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