地雷です

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情報処理が追いつかずボンヤリしている俺をお構いなしに白戸さんはうんうんとなにやら納得している。 「ボクもさー大概初見で『嘘でしょ⁉︎』って言われるよね。まぁ可愛いですけど。顔で性癖決めつけられてもね。」 未だボンヤリと白戸さんを見詰める俺に白戸さんはやはりとびきりの笑顔で言った。 「というわけで。朝比奈君ボクとセックスしよう。」 …セッ…。…って、え?なんて? ポカンと見詰めるだけの俺に白戸さんがプハッと吹き出す。 「あはは。フリーズしちゃってかーわい。」 上機嫌な声が耳に触れビクリと震えた。 セッ…クスて…。白戸さんは攻めで…。つまりだから今から俺を抱くってこと、か…? そんな、そんな事…。 気がついたら無意識に伸し掛かる体を押し返していた。 「そんな…、無理。白戸さんが俺を抱けるわけ、ない。」 「えー?なにそれ。ボクがバリタチだって疑ってんの?今からちゃんと証明してあげるよぅ。」 「違う。」 「違わないって。」 そーじゃなく、と俺は首を振った。 「俺なんか抱けるわけない。だって…俺はこんなで…」 受けらしくない。 やっぱりちょっと違うんだよね…。 と。 顔も思い出せない相手に土壇場で言われた記憶が脳裏を掠めてギュッと身体を強張らせた。 「あ〜…」と気の抜けたような相槌が降ってくる。 それに益々身を縮こまらせると頭にふわっと掌が乗った。 「ソレ随分とトラウマになってんだね。」 頭に乗った手は子供を宥めるようにイイ子イイ子と撫でる。 「あのね、これまでの出会いは運だか縁がなかっただけ。よりにもよって君のスパダリっぷりに尾っぽを巻いて逃げるような腰抜けばっかり選んじゃったって話でさ。」 男運が悪い、見る目がない、と立て続けに言われた言葉がぐさっと胸に刺さる。辛辣だな。 「でもね。ダイジョーブ!」 意気揚々とした声と不意に退いた気配に気付いてそっと視線をあげる。 白戸さんは笑った。 万人受けするようないつもの笑みではなくくっと口端を吊り上げ顎を聳やかすような笑みで。 「例え朝比奈君がスパダリだろうともボクの方がスパダリスキル高いからね。」 無邪気に傲慢。 まるで女王様みたいな自信に満ちた姿に思わず目を奪われた。 ギシッと音をさせて白戸さんが俺の顔の横に手を突く。 「君は可愛いから自信持って。後はボクにまっかせなさーい。」 そんな言葉が唇の上で弾んだ。
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