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「…ん」
食まれるように重なった唇が角度を変えて深くなる。舌で口内を掻き回されて口端から声が漏れる。
久しぶりのキスに直ぐにのぼせ上がった。
けれど
「っわ」
下肢を弄る手にハッと我に返った。
いつの間にかスラックスのボタンが寛げられていて今まさに下着に指がかけられ下されようとしたところ。
慌ててその腕を掴んで抑えた。
「もー今度はなに?」
「あの…っ、風呂入ってないし、汚いっ…」
「ああ。ボクは入ったから大丈夫。」
「俺が!です。」
「だぁめ。言っても朝比奈君深酒だから入るなら後でね〜。」
なんならボクが責任もって綺麗にしてあげるから。と白戸さんは言うけども。
そう言う事じゃない。
ただでさえ大きく育った身体に可愛げなど皆無なのに。
そんなコンプレックスの塊の身体を曝け出すのにも抵抗があるのに、小綺麗にするという一般の嗜みすらしないとか、絶対無理。
頑なに拒否する俺に白戸さんは可愛らしく首を傾げて見せた。
「今更だよぅ。二日酔いになったら可哀想かなってここ着いた後水ガブ飲みさせたらトイレ行きたいって言い出して。その時フニャッフニャだったから支えてあげたんだけどなぁ“色々”と。」
い…、色々…?
確かにトイレに行ったような記憶はある。
フワフワフワフワしてて誰かに手を引かれて背中支えられて…
あ“ああああああ
意味深に下着越しの隆起をなぞられて、色々察した俺は手で顔を覆って身悶えた。
幼児か俺は!
恥ずか死ぬ。
いっそ記憶の一切を失くしたい。というか白戸さんの記憶を失くして欲しい。
改めて言うが俺は取引先の先輩になにやらかしてんだ。
「こらこら、顔覆わない。せっかくの可愛い顔が見えないじゃん。」
ただでさえ可愛いとは無縁なのに。顔を真っ赤にした涙目の男なんて可愛いわけないじゃないか。
それを態々見たがるなんて。なんて…
「…悪趣味」
ぼそっと漏れてしまった本音。
白戸さんに聞こえてしまったようで、何某のスイッチを押してしまったようだ。
「へーえ。ふーん。そんなこと言っちゃうんだぁ。」
怒ってると言うより、獲物を前に目を輝かせる子猫のような口振りだった。
がしっと腕に手を掛けられて、無理矢理外すつもりなのかと反射的に力を入れて抵抗する。
けれど腕が剥がされる事はなく。
「ひぁっ⁉︎」
顔を覆ったままの腕を押さえつけられた状態で、唐突に胸に刺激を加えられ驚いて飛び跳ねる。
マウントとられて腕まで押さえ込まれた状態では実際に大して飛んでもないだろうけど。心情としては30センチぐらい浮き上がったんじゃないかと言うほど驚いた。
「ちょ、何して…!止め…」
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