二つの証明

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 帰り際に女が欲しいと言った、時計を拓海が買ってあげていた。何の為にと、俺の中で疑問が沸く。同時に激しい嫉妬心も芽生えた。  もしかすると、誕生日か何かなのだろうか。そうだとしたら、拓海は優しいと思う。こんな下品そうな女を気遣っているのだから。  二人は店を後にすると、タクシーで女の住むマンションへと向かった。この日は、そのまま出てこなかった。  女が帰らないで欲しいと、泣きついたのかもしれない。  あんまり酷いようなら、拓海から遠ざけなくては。    六月七日。午前七時二十三分。  金北と共に、拓海がマンションから出る。  俺たちの家から出た時は、青のストライプ柄のネクタイだったが、今しているネクタイは赤色のストライプ柄だった。そのネクタイを俺は知らない。女が買った物なのかは、定かではないが、俺に対する女の当てつけなのであれば、許すつもりはない。  午後八時三十分。拓海が帰宅する。 「昨日は散々だった」と、泊まり込みでの仕事の愚痴を漏らす。ネクタイは青のストライプ柄に戻っていた。  拓海が風呂に入っている隙に、鞄の中を確認。赤のストライプ柄のネクタイが入っていた。
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