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「顔が良い、歌が上手い、そんなんがなんになる。アイドルが、ダンスグループが、あいつらがなぜピンで歌わないのかわかるか? 一人じゃ届かないからだよ。震えないんだよ、聴いている者の心が。なあキンヤ、正直に言え、アユミの歌声はお前の心に響いたか? 金を使おうって気になったか? 趣味ならアユミで良い。だがな、プロを目指すってそういうことだろ」  キンヤは肯定しないかわりに否定もしなかった。  白く細長い指で金髪をかき上げる仕草に思わず私は見とれてしまう。頬杖をついて窓の外を見つめる横顔が瞳がとても切なげで、そのチャラさからは計り知れない彼の気持ちに私ははたと気付く。 「ねえ、リイト、私たちは夢の中で羽ばたいているわけではないわ。ここは現実の空よ。時計の針は、今こうしている内もチクタクと音を奏でている。きっとキンヤもその音を感じているのね。そろそろ現実を見る時が来たって」
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