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雪傘回しに暴かれる秘密の雪だるま
さあ、今年は異例の天候です。皆さん、服装に注意して、しっかりと風邪から身を守り、師走を乗り切りましょう。天気予報は以上です。続いてのニュースは、あの国民的スターの――。
十二月五日。日本各地で雪が降った。優姫がアルバイトから帰り、夜の時間もそうそうに眠りにつき、目が覚めると窓の向こうが白に染まっていた。北海道や東北地方、山沿いの地域ならまだしも、優姫の住む東京でその景色は、ニュースキャスターの言うように異例といえよう。
十二月六日。外では子供たちが、しんしんと降る雪の中はしゃぎまわっていた。少し歩けば家の玄関の周りにちらほらと大小さまざまな雪だるまが起立しているのが見える。洗濯物が出せないと嘆く大人と、今だ急げと駆け回る子供を前に、全国区のニュース番組のキャスターは七日の雪模様を解説した。
十二月九日。一週間のはじめの世界は静かで白かった。積雪を避けるために、しんしんと降る雪の中何かの制服を身に付けた数人が雪を端に寄せている。降雪の中の作業を可能にしたのは、細雪のような降り方のおかげだった。まるで、きめの細かいボウルに小麦粉を落とし優しくふるっているみたいだ、と誰かが言っていた。おなじみのキャスターは夕方のニュースで、やや困り顔で次の日の雪の具合を話し始めた。
――十二月十日。今日も優姫は、雪の下で赤い傘を差して、駅から大学までの数分を歩く。その日は一時限目から講義が入っている。人込みを避けるために早めに到着するようにしているが、最近は普段よりも人が少ないように思えた。
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