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うしろ?
瞬間、菜穂の心臓が大きな音をたてて脈打った。
さっきまで、菜穂は向かい合って座っていた。
だが、今その椅子は目の前にある。
だって、菜穂は。
桂木から離れる際に、別の場所に移動したのだから。
だから今、菜穂の背にあるのは。
――扉
恐る恐る菜穂が振り向くと。
「よ」
そこには、悪魔のようなニタニタした笑みを浮かべながら、片手を軽く上げて挨拶をする。
悩みの種がいた。
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