【プロローグ】桂木鯖人<かつらぎさばと>「ねぇ、男を虜にする美人さん」

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 うしろ?  瞬間、菜穂の心臓が大きな音をたてて脈打った。  さっきまで、菜穂は向かい合って座っていた。  だが、今その椅子は目の前にある。  だって、菜穂は。  桂木から離れる際に、別の場所に移動したのだから。  だから今、菜穂の背にあるのは。  ――扉  恐る恐る菜穂が振り向くと。 「よ」  そこには、悪魔のようなニタニタした笑みを浮かべながら、片手を軽く上げて挨拶をする。  ()()()()がいた。
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