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「浮気した挙句人から借りた金を返さねぇからだろうが! 10万返せよ! プレゼントしたバッグやらアクセの金はもういい。あれもあれで30万はするけどな。それは高い勉強代として諦めてやる。だが貸した金は返せっ、この泥棒女!」
「はぁ!? まだそんなこと言ってんの? 10万ぽっちもういいじゃない。それこそ勉強代と思って諦めればいいでしょ? 可愛い私に未練があるのはわかるけど、金に未練のある男ほど情けないものはないわ」
要の怒号に、菜穂が嘲り鼻で笑う。
「そもそも、私がアンタに借りた証拠はあるの? ないでしょ? じゃあ返さなくていいわよね」
口許を手で可愛らしく覆っているのに、クス、と笑みを零す姿は悪女という言葉に相応しき姿だった。
「おまえ……!」
「ていうか、あんたこそ泥棒でしょーが。私のもの勝手に取るなんて最低」
菜穂はそう言うとスマホの画面を見せる様に掲げた。
その画面には、机の上に置いてあるバッグを周りを伺いつつ取っていく要の姿があった。
「ハ!? お前そんなものいつの間に――」
「フン、こっちは証拠がちゃーんとあるのよ。そっちはないわよねぇ? 私のバッグ取りやがって、返して、この泥棒!」
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