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「んぁ?なんだミシェ、またか?」
鬱陶しそうな声で言いながら、ボサボサの短髪の襟足をガシガシと掻きむしるラフィーの姿を見たら、多分人間さんは彼が天使だなんて思わないと思う。
正装の白いローブを、ラフィーは着ようとしない。「何で?」って聞いたら「似合わないから」だって。
そんなことは無いと思うんだけど、ラフィーはいつもラフなセーターに色褪せたジーンズ姿。耳には瞳の色と同じガーネットのピアスまでしちゃってて、上級天使だっていうのに悪ぶった格好だ。まあ、ローブよりもその格好の方がピッタリ似合っていると言えば、そうなんだけどね。
だけど私は知っている。そんな見た目に反して、ラフィーがどれ程優しくて、どれ程真面目な天使かって事を。彼は私が思う所の天使中の天使だ。
鬱陶しそうな振りをして、ちゃーんと見習い天使の私のお願いを聞いてくれるって事も。
「今日ね、ピューエンズのお仕事なんだけど…手伝ってくれない?」
「ピューエンズか。まあ良いけど?」
ふふっ、ほらね?ラフィーなら手伝ってくれると思ってた。実はね、指導を担当してくれている上級天使には取り合ってもらえなかったの。
「だけど、ピューエンズならミシェも一人で出来るようになったんじゃなかったか?」
「うん…そうなんだけどね」
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