日常に忙殺。忘れていた物

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日常に忙殺。忘れていた物

掃除が嫌いだ 片付けも嫌いだ 年末に大掃除? 別にしなくても良くないか? 誰か人が遊びに来る時だけで充分。 だいたいワンルームの小さな部屋だ 物も少ない 先日、後輩が来たいと言ったから、 やっと小さなテーブルと ソファーベットを購入した。 後輩の都合上、 年末に泊まりに来るとのこと。 だから12月の今、掃除をしている。 ついでに、 ずっと開けていないケースを この際、整理しようと 引っ張り出した。 そのケースには 子どもの頃に大事に思っていた物が 入っているはずだ。 何十年と開けていない。 そんなに長い間 開けなかったのだ。 今さら必要な物など 出て来るはずもない。 「まぁ、捨てる前に 中身だけでも見てみるか」 一人言を言いながら 引っ張り出す。 中身を開けると、 やはりだが、 子どもの頃に集めていたガラクタだった。 あの頃はこんな物が宝物だったな。 少し哀愁にひたる。 と、下の方にアルバムとノートが 数冊入っていた。 見覚えがあった。 そうだ。 これだ。 これがあったから捨てられなかったのだ。 それすら忘れていた。 時は残酷だ。 忘れてはいけない記憶も 日常に忙殺されると 大切な想いも忘れさせる。 そっとその大切なアルバムとノートを わたしは開いた。
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