-4 俺って役立たず感

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 決意してハルが借りてきた雑誌を恐る恐る手にとる。『スクープOK』? 変なタイトルだけどちょっと手が震える。俺、怖いの嫌い。楽しいことだけがいい。でも。  さっきカフェで見た写真のページを開く。  小藤亜李沙、この子は可愛い。越谷泰斗、この子カッコいい、もてそう。ふうん。だいたいみんな同年代かな。10代後半から20代前半くらい?  なんの集まりなんだろ。合コンとかかな。最近行ってないな、合コン。行きたいな。可愛い女の子とイチャイチャしたい。いや、そうじゃなくて。ちゃんと思い出さないと。  あ、でも、ゔ、ん、やっぱ新鮮さがバラバラだ。同じくらいの鮮度は2、3人?  じゃみんな別なのかな。デートとか。デートスポット?  あの家で? まじで?  最近の若い子はよくわかんない。とりあえず、休憩。  休憩に記事を読み進める。  死体がたくさん見つかった。まあ、ゾンビも死体か。へぇ、見つけたのは近所の人なのか。人んちなんて気になるもんなのかね?  パサと音がしたので隣を見ると、ハルが寝返りを打って静かに寝息を立てていた。  ……。ハル、ごめん。ほんとに。  やっぱ思い出してみよう。雑誌の写真のページに戻る。  ん……ゔ……んんん。俺。頑張る。  ええと、あの顔は、……この人、グ、ぅ、それからこの人。  ハアッ。気持ち悪い。やばい、口の中がなんだか酸っぱくなってきた。あとわかるのは、ええと……。  んん、他いない? もういないよね。ここまで。ちょ、ちょっともう無理。ギブ。  雑誌を放り出してソファに倒れる。……あ、でもハルの扉見とかないと。慌てて起き上がる。まだ大丈夫かな。  ハルは凄いなぁ。姿は見えてはいないんだろうけど声は聞こえてるんだよな。そうすると、叫び声とか、多分恨み言とか、そういうのって聞こえてるのかな。聞こえるだけもかえって怖いかも。全然見えないのも怖いよね、多分。……臭いもか。それは嫌だな。めちゃくちゃ臭そう。  そういえば橋屋家ではどういう話をしてたんだろう。橋屋家のみんなは何かを真剣に相談してるみたいだった。……昨日の件、俺、全然理解してないや。まじ落ち込む。なんなの俺。  手元のボウルに入った濡れタオルを見る。これもハルが自分で用意した。あぁ、俺役立たず感。何やってんだろ。本当に。でもあの光景を思い出すと体が動かなくなる。ゾンビとか無理。虫とかもっと無理。  ……でも、だから、俺の代わりに今ハルが見に行ってて。俺が嫌だから。嫌って言ったから。罪悪感が酷い。あぁもう。酒飲みたい。  あ、ん、ハルの後ろの扉がぼんやりして来た。夢を見始めたんだな。曇りガラスっぽい感じ。これがもっと透明になって来て嫌な感じがして来たら起こさないといけない。いつも5分くらいでそうなる。  ……いつもは起こすのに必死、っていう言い訳をしてたけど、今日はよく見ておこう。うん。そうする。
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