-4 俺って役立たず感

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◇◇◇  うん? ここはどこだ。少しうす暗い。なんだかあたまがぼんやりする。なんか、すごく臭い。鼻腔に張り付くような粘るような臭い。うっかり生ゴミ捨てるのを忘れて1週間ぶりくらいに帰ってきたときの匂い。  ちゃんと捨てないと虫が湧くぞ。  どこかからヒソヒソする音がする。ザラザラとノイズがかった妙な音。ざわざわとしたざわめき。空気がゆるく震えている。 「お兄さんこんばんは」  どこかで聞いたことがあるような子供のような声がした。 「こんばんは。生ゴミは捨てないと駄目だぞ」 「そうだね、それからいろいろ思い出そうとしないでね? 魔法が解けるから」  魔法?  振り向くと、人影があった。向かい合う薄い人影と黒くて濃い影。2人ともざらざらしている。そういえば、ざらざらしているのはこの部屋中だ。なんだか砂嵐というか、ノイズを感じる。   どうして   ひつようなんだ   そのひとはしんでる   えいえんにのこる 「ここはどこだ?」   おばけやしき   せかいのはじまり  お化け屋敷? 最近聞いたことがあるような。よく見ると2人の奥にもいくつかの影が折り重なっていた。何をやっているんだ? 「ここでパーティでもやってるのか?」   たすけて   そう、ぱーてぃだね  耳を澄ますとザラザラとした不愉快な音が強まった。なんだ? 視界にもノイズが入る。 「お兄さん、あまり気にしないほうがいい」 「そう?」  子供の声のする方に気を向けると、ノイズは少し薄らいだ。変な場所だ。見回す。広い部屋。でも何もない。なんか薄汚れている気がしてきた。変な匂いは部屋全体から漂っている気がする。嫌だな。   いえにかえりたい   ここはすばらしい 「帰ればいいじゃないか」   かえれないの あしがない   かえれないよう あしがない   そうだ おられた   うごけない   そとにだして   たすけて  じわじわといろいろな方向から発せられる声が重なる。まるでハウリングしているようだ。  なんだ? これ。気持ち悪い。ぐわんぐわんと反響する音に押されてジリジリした雑音が増してゆく。部屋に黒い砂嵐が増えていく。視界がだんだん黒くなっていく。それからなんだか近づいて来たような。首筋のざわめきが強まり、額の傷が僅かに痛んだ。危険? 「やばい。お兄さん、起きて、これは夢だ、早く起きて。とりあえずこの部屋を出て」 「夢?」  そういえば頭がぼんやりする。とりあえず反対方向、階段を振り向く。 「はやく起きて! 外の友達の人! 早く起こして!」  グッ。急に息が出来なくなる。  ッツ?! なんだ?  その瞬間世界がバリバリと崩壊を始めひび割れていった。
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