-5 あの人の鮮度

2/4
前へ
/458ページ
次へ
 次に分析すべき点。  俺が見た光景では床に影が積み重なっていた。公理さんは2F正面の部屋で床に積み重なった大量の死体と天井にぶらさがった大量の幽霊を見たという。天井にはなにもなかったように思う。そうすると天井は別口の可能性。  それから前に公理さんに2階を見てもらったとき、腐ってるとは言っていなかった。多分腐ってたら公理さんその場で指摘してたと思うし多分気を失っていただろう。今は腐って見えるのかな。そうすると公理さんに見せるのはやはりやめておいた方がいいな。  いちいち気絶されるのはまずい。特に夢の中にいるときに気絶されると俺は起きれなくてそのまま死ぬ可能性がある。さっきの夢は起きる間際はたまたま影の方を向いてたから公理さんはあの山を見てないだろう。しかし夢の中では記憶を持ちこせない。注意のしようがないな。振り向きそうなら目をそらしてもらうか……、いや、それでは危険が察知できない。保留。  今検討できるのはこのくらいか。情報が少ないな。仕方ない。次に行こう。長期戦にするつもりはない。ようやく息も整ってきた。  目を上げると心配そうに公理さんが俺を眺めていた。大丈夫だよ、ヤバいのは俺の方でなるべくなんとかするから。時計を見ると19時半。2時間ちょっと寝たかな。飯作って食ったらもう1回寝よう。 「夕飯作る。食べた後ちょっと休んでもう一回寝る予定」 「もうちょっとゆっくりしたら?」 「どっちみち寝るんだから同じだよ」 「もうすこしゆっくりしようよ、なんか疲れてそうだよ」  なんかやけに絡むな。まあいい。  スライスしたチキンをチキンスープで茹でてニョクマムと塩胡椒で味を整える。ニョクマムは好き嫌いが出る調味料だけど公理さんはアジア系は大丈夫だったはず。フォーを茹でてスライスした紫玉ねぎと芽ネギ、もやし、パクチーとミントをトッピングしてライムと砕いたピーナツを添える。この砕けたナッツの香りが好きだ。  並行してぶつ切りにした大正エビと残ったねぎをライスペーパーで巻いてレンチン蒸し器で蒸す。本当は専門の腸粉の米粉で作りたいんだよな。もちもちした食感がとてもいいから。こっちもニョクマムと蜂蜜、生姜でタレを作ってパクチーとミントをトッピング。たくさん千切ったから手にパクチーの香りが移った。ほんとはフライドオニオンも合うんだけどな。あとは野菜を切る。フォーガーとエビの腸粉もどきととサラダ。 こんなもんか。  皿に盛って運んだら公理さんはぐったりソファに転がっていた。
/458ページ

最初のコメントを投稿しよう!

143人が本棚に入れています
本棚に追加