-5 あの人の鮮度

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「公理さん、できたぞ。つまみは起きてから作る」 「いただきます」 「元気なさそうだけど大丈夫?」 「うん、俺もなんかしないとと思って」 「苦手なとこで無理しなくていいよ」  本当に。変なとこでメンタルにダメージ受けて倒れたら元も子もない。できることは俺の方でやっとく。そのほうが効率がいい。  公理さんは酔っ払ってないと妙に真面目なとこがある。  とりあえず次の奴だ。対象の特定。  食べながら雑誌をめくる。写真8人のうち男は3人。あの男の声はこの中の誰かなんだろうか。わからないな。今も生きているのかもしれない。それなら確実に死んでいる者を狙うのが良いだろう。それに仮に死んでいたとしてもあの黒い男が小藤亜李沙と同時に死んだとしたら小藤亜李沙と同じ映像になるんだろう。危険を冒して同じ映像を見ても仕方がない。  次に見るのは女だな。あの場には小藤亜李沙と男以外は既に死んだ者しかいなかった。無駄が省ける。  ……そういえば呪いは層になっている。層と層の境目はなんだろう。  家は以前、1番上は橋屋のバイアスと言った。それから柚は人を殺し続けているのにまだ『柚の呪い』のバイアスは構築されていない。今の1番上のバイアスは『大量不審死事件』。この事件も大量に死んでいるのに個別に呪いのバイアスにはならず十何人かで1つのバイアスを構成している。バイアスを構築する要因は何だ? 「あの、ハル」
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