-6 呪いのかたち

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 現在時点で確認しなければならないこと。  まずは目的の再確認。  大目的は家の呪いを解くこと。小目的は不審死事件のバイアスの消滅。  バイアスの消滅には呪いの構成要素を家から出す必要があると思われる。今回バイアスを構成するもの、追い出す対象は何か。それを確定しなければならない。積み重なった死体はその対象に含まれるのか。……仮に含まれるとしてゾンビやスケルトンを家の外に出せるのか。俺は触れないしゾンビやスケルトンを説得できるとは思えない。この場合、正直どうしていいのかよくわからないな。 「橋屋さんの事件はどうだったの」 「家は死んだ人が同じ日をくり返すと言っていた。それを止めてほしいって。そして止めた後にみんなをリビングの窓から逃がす」 「そうすると今の大量不審死事件も同じ日をくり返しているのかな」 「そういう性質の呪いならそうだな」  だがそうか。同じものと考えていたが呪いの性質が違う可能性がある。  第一、同じ日というのはどの時点のことだろう。18人の死者がいて全員がそれぞれ死んだ日をくり返しているのだろうか。ああそうか、だから気になったのか。橋屋のバイアスが消滅して『呪いの媒体』が大量不審死事件を形作った時、すでに死体が腐乱してたこと。  それぞれが個別に死んだ時を繰り返すなら死んだときの姿が保たれるのが道理だろう。ゾンビにはならない。姿が異なるのは解せないな。そうするともっと後の一時点が起点となっているのかな。  やはり今回の呪いの形と解除の条件を改めて家に確認する必要がある。このバイアスの『呪いの依代』が越谷泰斗かどうかも未確定だ。貝田弘江と違って俺と公理さんで意見が分かれている。  まずはそこの確定だ。  次点で必要なのは解除ルートの確認。  1階のリビングから出られるとしても1度は現況を確認する必要がある。試みて実は開かなかったじゃ元も子もない。だが今急いで見る必要はあるか。いや、最終段階でわかっていればいい。  家は昼に来るのがいいと言っていた。  越谷泰斗は雑誌では20歳とあった。大学生か社会人だろう。昼に家にいないとすると、その時間にあわせて慎重に調査したほうがいいように思える。早く解決はしたいが危険は冒せない。ブラックボックスで危険性が計れないならばなおさら。 「調査は明日の昼にしよう」 「俺やるよ?」 「早いに越したことはないけど家が夜は危険だと言っていた。家の調査は明日は昼から頼みたい。だから公理さんには今日はクラブの調査を任せたい。そっちも必要だろ?」 「そっか。でもハルは起きられないとやばいでしょう?」 「目覚ましでなんとかする。やれることをやろう」
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