143人が本棚に入れています
本棚に追加
◇◇◇
糞。なんでハルを置いて出た。
物凄い、後悔。海の底に落ちたような後悔で真っ暗。こんなに後悔したことってあまりないかもしれない。
ハルの性格からして家でゆっくりしてるはずないじゃないか。そんなことはわかってたんだろ? それなのに、飲んじゃった。楽しかったから。外で飲むの何日かぶりだったし。
いつもそうだ、ハルはわざと本当のことは言わないしたまに平気な顔で嘘もつく。久しぶりのクラブだと思ってワイワイ楽しんでたら電話があった。急いで帰ると死にかけてた。あれは多分、死にかけてたよね。
ほんと、何やってるんだ俺。クラブで飲まずに話だけ聞いてすぐ帰ればよかったじゃないか。そうすればハルがいないことに気がつけた。ハルは俺が飲んでくることも見越してたんだろ?
うう、情けない。ごめん、ハル。
家から聞いた。ハルは極めて不運や呪いを集めやすい体質。でもそんなことはわざわざ家に言われなくても既に知ってた。ハルは不幸で不運でいいことがない。ハルとはもう5年くらいの付き合いはある。ずっとじゃないけどその不幸を俺も近くで見ることはたくさんあって、ハルに不運が集まってるのは十分知ってたのに。
だから本当にハルをあの家に近づけちゃいけなかった。でも最初からだ。最初から俺は嫌がるハルを呪いに近づけた。無理やりに。ハルが断らないのは知ってたのに。帰ろうと言われてもあと少しっていって近づけた。それで家に呪われた。すごく凶悪な呪い。
糞っ。俺は何をやってる。
これは俺の問題だ。本当に俺の問題で、ハルは全然関係ないのに。
ごめん、ハル。本当にごめん。謝っても謝りたりない。どうしたらいいんだろう。どうしたら。
最初のコメントを投稿しよう!