-1 呪いの家のうわさ

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 俺と公理さんとの出会いは俺が12歳くらいの時だ。  その頃住んでいた家の近所に公理さんも住んでいた。その時の公理さんは確か20くらいだったはずだ。  俺が土曜か日曜の早朝の公園でぼんやりしていたとき、べろべろに酔っ払った公理さんに絡まれた。物凄い酒臭さだった。あんな酒臭い人は後にも先にも公理さんだけだ。 「ウェーィ、子供が公園なんかでなにしてんの〜?」  むしろ公園にいるのは子供だろ? と思ったが見るからにやばそうな状態の人だったから逃げようとした。だが、逃げきれずに後ろからホールドされて捕まって頬擦りされた。耐え難く酒臭い。軽くゲロの匂いも混じってる。 「ねぇ〜お兄さんと遊ぼうよ〜」  助けを呼ぼうとしても人っ子1人通らない。普段なら犬の散歩してる人がいるはずなのに。俺は運が悪いんだ。自力で切り抜けないといけない。酒臭い空気の中で軽く息を整える。 「お兄さん、わかったから一旦離れて、話聞くから」 「ほんとに〜? 逃げない?」  目が死んでる。このタイプは下手に逃げて捕まったら次は逃してもらえない。大人しくいうことを聞けばそのうち飽きるだろう 「逃げない逃げない、信じられないなら手握ってていいから」  左手を差し出すと、痕がつくほどの力で手首をつかまれたが大人しく離れてはくれた。  そこから30分くらい延々と愚痴を聞かされた。主に女性関係。小学生に話していい話じゃないだろうと思いつつ、適当に相槌を打っていたらいつのまにかベンチで寝始めた。  完全に寝たと確認してから公園を離れる。もうこの公園には来れないな、と思っていたらそこかしこで酔っ払ったこの男に出会って絡まれるようになり、中学の時にLIME IDを奪われた。
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