-1 呪いの家のうわさ

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 それからちょくちょくわけのわからない呼び出しがある。  呼び出しに応じなければ延々とLIMEを飛ばしてくるし、何故だか酔っ払った状態の公理さんにどこかで遭遇する。それなら自主的に会った方がまだましだ。公理さんは酔っ払ってる時は最悪だが、素面の時は案外まともな対応をする人だから。酔っ払った状態で呪いの家なんぞに連れ込まれたら目も当てられない。 「俺が運が悪いことは当然知ってて言ってるんだよな?」 「うん、わかってる。外から見て本当にヤバイかどうかだけ見て欲しいの、入らなくていいからさ」  それならまぁ、許容範囲か。  俺は運が悪すぎるせいか、感覚的に不運や不幸の存在がわかる。虫の知らせ機能が強化されている。ヤバい予兆がある場合にはまず首筋にピリピリとした不快感が起こり、命に関わるような場合には額にある古傷が痛む。  外から見るだけでいいというなら、大丈夫だろう。問題はこの電話の時点ですでに首筋がざわめいていることだが。  仕方なく待ち合わせの予定をする。北辻(きたつじ)駅西口改札で明日の午前11時。こちらに配慮した時間。  公理さんちゃんと起きてこれるのかな? どうせ今日も飲んで酔っ払ってるんだろ? まあ、俺としてはグロッキーな公理さんの方が都合がいい。
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